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おせちは刻めば食べられる?13品の気をつけるところを管理栄養士が説明します

栗きんとん・黒豆・かまぼこを並べたイラスト。文字は「刻めば食べられる? おせち13品」 ムース食の基礎知識

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お正月くらい、家族と同じおせちを少しでも食べさせてあげたい。でも、どれなら大丈夫なんだろう。

重箱のふたを開けて、ひとつずつ見ながら考えたことはありませんか。

先に、正直にお伝えします。

ふだんムース食の方には、そのままでは向かないものがほとんどです。

やわらかく煮えた根菜も、ふわふわの伊達巻もです。やわらかい=食べられる、ではありません。

「やっぱりそうだよね」と思われたかもしれません。

でも、「なぜ食べにくいのか」が分かると、適切な対応も見えてきます。

私は管理栄養士として、病院と施設で12年、食事に関わってきました。
そして、重い障害のある11歳の娘の母です。娘は噛まずに、そのまま飲み込みます。

この記事でわかること
  • 刻んでも食べられない理由が4つあること
  • おせちの1品ずつ、そのどれにあてはまるか
  • 家で作り直す方法
  • 作らずに買うという選び方

刻めば食べられる、ではありません

飲み込みが心配なとき、まず思いつくのは「細かく刻む」だと思います。

刻めば、小さくはなります。でも、小さくなっても食べられないことがあります。

刻んでも食べられない理由が、4つあります。

この4つを知ると、おせちのどこが引っかかるのかが見えてきます。

飲み込みにくい理由は、大きく4つです

介護食の本や資料では、誤嚥(ごえん:食べものが気管に入ってしまうこと)しやすい食べものを、いくつかの種類に分けて説明しています。

飲み込みにくい4つの理由の図解。噛んでも形が残る、のどに残りやすい、むせやすい、口の中で分かれる

おせちに当てはめて整理すると、4つになりました。

どうなるかどんなもの
1 噛んでも形が残る硬いもの、繊維が強いもの
2 のどに残りやすいべたつくもの、パサパサしたもの
3 むせやすいサラサラした液体、酸味が強いもの
4 口の中で分かれる汁けがあって、汁と具が別になるもの
みかん
みかん

この4つは、おせち以外でも使えます。

「これはどのパターンだろう」と考えられるようになると、ふだんの食事でも迷わなくなります。

おせちを、4つに当てはめてみます

重箱によく入っているものを、ならべてみました。

料理どれにあてはまるかなぜ
栗きんとん2 のどに残るでんぷんが多く、粘りがある
黒豆1 形が残る皮が残る
かまぼこ1 形が残る弾力があり、噛み切れない
えび1 形が残る弾力がある
昆布巻き1 形が残る昆布の繊維が強い
煮しめのごぼう・れんこん1 形が残る繊維が多い
煮しめの里芋2 のどに残る粘りがある
伊達巻2 のどに残るパサパサして、まとまりにくい
数の子2 のどに残る粒がばらけて、まとまらない
田作り2 のどに残る硬くてパサパサしている
なます3 と 4酢の酸味。汁と繊維が分かれる
お吸いもの3 むせやすいサラサラした液体
煮しめ(汁ごと)4 口の中で分かれる煮汁と具が分かれる

刻んでも、どれも解決しません。

繊維は刻んでも残ります。粘りは刻むと強くなります。汁と具は刻んでも分かれたままです。

4つを、もう少しだけ

1 噛んでも形が残る

硬いものと、繊維が強いもの、弾力があるものです。噛んでも、形がそのまま残ります。

おせちでは、昆布巻き・かまぼこ・えび・煮しめのごぼう。黒豆も、皮が残ります。

2 のどに残りやすい

べたつくものと、パサパサしたものです。反対の性質なのに、同じ結果になります。

栗きんとんや里芋は、でんぷんが多くて粘ります。でんぷんは、細かくなるほど粘りが強くなります。

伊達巻や数の子は反対で、まとまらずにばらけます。

なめらかに見えても、のどに残ることがあります。

栗きんとんは見た目がとてもなめらかです。だから「これなら大丈夫そう」と見落とされやすいと、私は思っています。

※これは管理栄養士としての私の見方です。

3 むせやすい

サラサラした液体と、酸味が強いものです。

おせちでは、お吸いものと、なますのお酢です。

4 口の中で分かれる

口の中で、汁と具が別々になってしまうものです。

汁だけが先に流れて、具があとから来ます。煮しめを煮汁ごと食べるときや、なますがこれにあたります。

お味噌汁でむせる方がいるのも、同じ理由です。

では、どうするか|作り直すことになります

4つとも、理由が違います。でも、やることは同じになります。

ゲル化剤(ムース食の素)を入れて、ミキサーにかける。

形やまとまり方を、食べやすい状態に整えることができます。

繊維も、粘りも、パサつきも、汁と具が分かれるものも。ムース状にできます。

ただし、これで必ず食べられるようになる、ということではありません。ちょうどよい硬さやまとまり方は、その方によって違います。

ゲル化剤は、商品の説明に書かれている量と手順で使ってください。入れる量で固さが変わります。

お雑煮のムース食を手作りしました。

家族と同じお鍋から取り分けてゲル化剤を入れ、ミキサーにかけてムース状にしました。

家にあるもので作ってみたい方は、こちらです。作り方を写真で全部お見せしています▼

お餅については、別の記事にまとめています▼

でも、おせちを全部作り直すのは大変です

ここまで読んで、こう思った方もいると思います。

13品を全部ミキサーにかけるなんて無理。

私も、そう思います。

おせちを作るだけでも大変なのに、それをさらにムース状にするなんて時間がいくらあっても足りません。

全部やらなくていいと思います。

食べられそうなものを2品か3品だけ選んで、作り直す。それでも、お正月の食卓になります。

買うという選び方もあります

もうひとつ、作らないという方法もあります。

ムース食のおせちが、売られています。一式そろって届きます。

1品ずつ作り直すのがむずかしい方は、こちらを見てください。3社の値段とやわらかさをならべました▼

おせちは、注文の締め切りが早いです。

10月のうちに締め切る会社もあります。12月に入ってから探すと、間に合わないことがあります。

ふだんの食事も大変、という方へ

お正月だけの話ではないかもしれません。

毎日の食事を、全部ミキサーにかけている方もいます。

うちは、娘の体調が悪い日にミキサーを使います。それだけでも大変なので、毎日の方はどれほどかと思います。

冷凍で届くムース食は、おかずが3〜4品そろって、温めるだけです。

毎日の食事をすこしでも軽くしたい方は、こちらです。4社とも実際に食べて、値段と栄養をならべました▼

最後に

この記事は、食べものの性質をまとめたものです。

何が食べられるかは、その方によって違います。ふだん食べているものと見くらべて、心配なときは、かかりつけの先生や言語聴覚士に相談してください。

まとめ

  • ふだんムース食の方に、そのまま向くものはほとんどない
  • 刻めば食べられる、ではない
  • 刻んでも食べられない理由は4つ。噛んでも形が残る/のどに残る/むせやすい/口の中で分かれる
  • 4つとも、ミキサーとゲル化剤で手を入れられる(ただし、合う固さは人による)
  • 全部やらなくていい。2品か3品だけ作り直すのでもいい
みかん
みかん

おせちのムース食があることを、私も調べるまで知りませんでした。

知らないまま、あきらめてしまう方がいるかもしれません。それがいやで、この記事を書きました。

作る、買う、やらない。どれでもいいと思っています。

知ったうえで、選んでもらえたら嬉しいです。

参考にした本:『決定版 かむ・飲み込むが難しい人のごはん』藤谷順子 監修(講談社)

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