退院が決まって、ほっとしたのもつかの間。「おうちでは、飲み込みやすい食事にしてくださいね」と言われて、頭が真っ白になっていませんか。
結論からお伝えします。最初の1週間は、全部手作りしなくていいです。市販品や宅配に頼って大丈夫。手作りは、生活が落ち着いてからで間に合います。
私は管理栄養士で、重度障害のある娘の母です。娘の退院のたびに痛感してきました。大変なのは嚥下食(えんげしょく:飲み込みやすく加工した食事)そのものではありません。家族のふだんの食事を回しながら、もう1食分、別メニューを用意することです。

管理栄養士の私でも、二重の食事づくりは大変でした。だからこの記事は「最初の1週間の乗り切り方」だけに絞ってお伝えします。
※このブログの情報は一般的な介護食の参考情報です。嚥下機能には個人差があります。必ず担当の医師・言語聴覚士・管理栄養士にご相談の上でご活用ください。
・退院前に病院で聞いておく3つのこと
・退院までに買っておくもの
・最初の1週間の乗り切り方(市販・宅配の使い方)
・手作りを始めるタイミング
結論|最初の1週間は「全部手作り」しなくていい
退院直後の家は、ただでさえ大変です。通院、手続き、生活の変化。そこに「家族の食事+本人の別メニュー」という二重の食事づくりが加わります。
だから、最初の1週間の目標はひとつだけにしましょう。「安全に食べて、体力を落とさない」。それだけで満点です。
やることは3つだけ
- 退院前に、病院で「3つのこと」を聞く
- 退院までに、市販の嚥下食を数日分買っておく
- 最初の1週間は、市販・宅配に頼る
順番に説明します。
①退院前にやること|病院で聞いておく3つ
退院前がいちばんのチャンスです。病院には、本人の飲み込みの状態を一番よく知る専門家がそろっています。
病院で聞いておく3つ
- 今の食事の「形の名前」(ムース食?ゼリー状?きざみ?あとで商品を選ぶ手がかりになります)
- 飲み物のとろみの濃さ(水やお茶にとろみが必要か、どのくらいか)
- 避けたほうがいい食べ物(むせやすいもの・詰まりやすいもの)
できれば、病院の管理栄養士さんに紙に書いてもらってください。そのメモが、家での命綱になります。実際の食事をスマホで撮らせてもらうのもおすすめです。「これと同じ形」を目で探せるようになります。

病院側で働いていたから分かります。管理栄養士は、聞かれたら喜んで教えてくれます。遠慮しなくて大丈夫です。
②退院までに買っておくもの
市販の嚥下食を、まず数日分
ムース食や粥ゼリーは、いまは市販で買えます。まず数日分あれば、退院当日から「今夜どうしよう」に追われずにすみます。
どこで売っているかは、こちらにまとめています▼
お粥が中心の方は、粥ゼリーの食べ比べも参考にしてください▼
ゲル化剤・とろみ剤は「通販」が確実
ここは私の失敗からお伝えします。ゲル化剤(ゼリー状に固める粉)は、ドラッグストアには売っていないことが多いんです。私は娘の体調が悪いときに探し回って、買えませんでした。
必要になってから探すのではなく、退院までに通販で頼んでおくと安心です▼
③最初の1週間の乗り切り方
最初の1週間は、市販品・レトルト・宅配が主役で大丈夫です。
「レトルトばかりで大丈夫?」と不安になったら、こちらを読んでください。レトルトのお粥は危険ではありません▼
そして、家族の食事と同じ献立にしようとしないでください。本人は市販の嚥下食、家族はいつもの食事。それでいいんです。二重の食事づくりを完璧にやろうとすると、介護する側が先に倒れます。
買い物に行く余裕もない時期なら、冷凍で届く宅配のムース食もあります▼

市販や宅配に頼るのは、手抜きではありません。退院直後のいちばん大変な時期を、安全に乗り切るための選択です。
慣れてきたら|手作りは「1品」から
生活のリズムがつかめてきたら、手作りに挑戦してみるのもいいと思います。ただし、いきなり全部ではなく1品から。
最初の1品には、お粥ゼリーがおすすめです。作り方はこちら▼
ムース食づくりの基本の流れは、こちらにまとめています▼
困ったら、一人で抱えないでください
- むせが増えた・熱が出た → かかりつけ医へ早めに相談
- 介護サービスのこと → ケアマネジャーへ
- 食事の作り方・形のこと → 退院した病院の管理栄養士へ(退院時に「困ったら相談していいか」を聞いておくと安心です)
「せっかく用意したのに食べてくれない」ときは、こちらも読んでみてください▼
まとめ|あなたが倒れないことが、一番大事
- 退院前に病院で3つ聞く(食事の形の名前・とろみの濃さ・避ける食べ物)
- 市販の嚥下食を数日分+ゲル化剤は通販で用意しておく
- 最初の1週間は市販・宅配が主役でいい。家族と同じ献立にしなくていい
- 手作りは慣れてから、1品ずつ

食事づくりが2倍になるのに、体はひとつです。頼れるものには、遠慮なく頼ってください。あなたが倒れないことが、家族にとって一番の栄養です。









