「高齢の母がごはんを食べてくれないんです…」
そんな相談をよく受けます。年齢とともに食欲が落ちたり、飲み込みづらくなることはよくある話です。
でも、私が実際に悩んだのは――障害のある娘が突然、食べなくなったときのことでした。
しかも私は管理栄養士。
ミキサー食や介護食もよく知っているつもりだったのに…
それでも、娘の“食べない理由”に気づけなかったんです。
家族が悩む「高齢者が食べない」主な2つのケース
① 食欲が落ちてきた
- 食べる量が少なくなり、栄養不足が心配に
- 食べ残しが増え、好きだったものも口にしない
- 家族は「どうしたらまた食べてくれるの?」と悩み疲れてしまう
② 飲み込む力が落ちてきた
- よくむせるようになった
- 硬いものや水分を避けるようになる
- 「食べたいけど、飲み込めない」のサインを見逃しがち
実は娘にも…「食べない理由がわからない」苦しさを体験
ある日、重度の知的障害がある娘が急に食べなくなりました。
風邪をひいて痰や鼻水が多かったのですが、熱はなく、機嫌も良好。
でも、ごはんをまったく食べてくれない。
私は管理栄養士として、病院や施設でミキサー食を作った経験もあります。
普段から、娘には肉じゃがやおかゆなどをミキサーにかけて、飲み込みやすくして食べさせていました。
それでも、食べてくれない。
理由がまったくわからない。
しゃべれない娘に、「どこがつらいの?」と聞いても、答えはありません。

“食べない”のは意思じゃなくて、体のSOSかもしれません。
ムース食は、気づけなかった小さなサインに気づかせてくれました😊
「ムース食」との出会いで、娘がパクパク食べ始めた!
そんな時、病院の管理栄養士さんから「ムース食を試してみては?」と教えてもらいました。
「ムース食?…ミキサー食とどう違うの?」
正直、最初はピンと来ませんでした。
でも、試しにスベラカーゼ(ゲル化剤)を使って作ってみたところ――
ムース食は、ミキサー食よりもツルンとした口あたりで、まとまりやすく、喉に貼りつかない!
この「ツルン」と「まとまり」と「べたつかない」が、食べやすさの3条件だったのです。
娘に出したその瞬間――
なんと、パクパクと食べはじめたのです。

飲み込みやすさは「食事の質」を左右します!
ムース食は、嚥下のストレスを減らす工夫が詰まっています。
ミキサー食とムース食、こんな違いがあったなんて…
私は今まで、ミキサー食で十分だと思っていました。
でも、痰が絡んでいたり、鼻づまりで喉の通りが悪いときは、ミキサー食はかえって負担になることもあるんですね。
どろっとして喉に張りつく感じ。
それが、娘にはつらかったのです。
「噛まなくてもいい」だけではなく、「飲み込みやすさ」まで考える必要があった。
それに気づけたのは、ムース食と出会えたからでした。
今では「食べにくそう…?」と思ったらムース食に切り替え
この経験から、風邪をひいたときや花粉症で鼻水が多いときなど、
娘の調子を見ながら刻み食からムース食に切り替えるようにしています。
無理に普通の食事を食べさせるよりも、
食べやすい形にしてあげることが、何よりのサポートなんだと、身をもって知りました。
まとめ
- 高齢者や障害のある人が「食べない」とき、理由が見えにくくて困ることがある
- 食欲が落ちているのか? 飲み込みづらいのか? 見極めが必要
- ミキサー食でも食べられないことがある
- ムース食は「まとまりやすい」「やわらかい」「喉に貼りつかない」の三拍子
- ひとりで抱え込まず、専門職の助けを借りることが大事
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