噛む力や飲み込む力が弱くなった家族のために、「食事を工夫したほうがいいのかな…」と思いながらも、何から始めればいいのかわからないと悩んでいませんか。
私は管理栄養士の資格を持っていますが、現在は嚥下に悩む娘を支える家族の一人として、日々の食事と向き合っています。
専門知識があっても、嚥下食は思い通りにいかず、「これで本当に安全?」「なぜ食べてくれないの?」そんな不安と迷いを何度も経験しました。
この記事では、私の失敗から学んだ「本当に安全で、喉越しのよいムース食の作り方」を、初心者の方にも分かりやすく解説します。
難しい技術は不要。「混ぜるだけ」で食事の時間は変わります。
失敗談:ミキサー食とムース食は「別物」でした

私が最初にムース食づくりでつまずいたのは、娘がまだ5歳くらいで、とても小さかった頃のことです。離乳食の延長のような感覚で、ゲル化剤を使わずに、料理をそのままミキサーにかければいいと思い込んでいました。
見た目はなめらかですし、「これなら飲み込みやすそう」に見えますよね。 でも、実際には違いました。
娘が食べてくれなかった理由
ミキサーにかけただけの食事は、のどにドロッと張り付いて飲み込みにくくなります。特にお粥や芋類などデンプンが多い料理は食べにくく、娘は食べてくれませんでした。
娘には知的障害があり、話すことも、文字で伝えることもできません。
当時の私は「なぜ娘が食べてくれないのか」が分からず悩んでいました。
「魔法の粉」でスプーンからの落ち方が変わった
その後、病院の管理栄養士さんに「介護食用のゲル化剤(ムース食の素)」を教えてもらいました。さっそく、それを使ってムース食を作ってみると、ドロっとしていたミキサー食が「つるん、ぷるん」と飲み込みやすい形に変化しました。
そして、それまで食べてくれなかった娘がパクパクと食べてくれたのです!

その様子を目の当たりにして、「ゲル化剤って魔法の粉みたい!」と感激しました。
結論:ムース食づくりには「介護食用ゲル化剤」が必須

この経験から、安全なムース食を作るためには、必ず「介護食用のゲル化剤」を使うことが大切だと分かりました。家庭にあるゼラチンやとろみ剤では、ムース食特有の「つるっとした喉通り」は再現できません。
介護食で使うゲル化剤の基本や注意点については、こちらの記事をどうぞ▼
【保存版】失敗しない「黄金比」の目安

「ゲル化剤って、どれくらい入れたらいいの?」 ここが一番の悩みどころですが、私が使っている「ミキサーゲル」なら、覚える数字は一つだけです。
基本の黄金比は「全体量の約1%」です。
計算はとてもシンプルです。 「食材」と「水分(だし汁など)」を合わせた重さに対して、1%のゲル化剤を入れます。
- 合計 100g なら … ゲル化剤 1g
- 合計 200g なら … ゲル化剤 2g
まずはこの「1%」から始めて、好みの固さに調整するのが、一番失敗しない近道です。
重要:温度による「微調整」のコツ
実は、食材の温度によって「固まりやすさ」が変わります。ここを知っておくと安心です。
- 冷たい食材(常温以下): 1.0% 〜 1.5%(基本通りか、少し多めでOK)
- 温かい食材(40℃以上): 0.6% 〜 1.0%(少し控えめに!)

料理が温かいときは、ゲル化剤を入れすぎるとゴムのように硬くなり、危険です。ゲル化剤は計量することをおすすめします。
※この分量は「ミキサーゲル」の場合の目安です。
他のメーカーのゲル化剤を使う場合は、固まる力が異なるため、必ずパッケージ裏面の表示を確認してください。
【簡単3ステップ】ムース食づくりの基本手順

黄金比さえ分かれば、あとは簡単です。
私が普段行っている、一番シンプルな手順を紹介します。
- 料理をだし汁などの水分と一緒にミキサーにかけます。※この時点ではまだ「ミキサー食」です。
- 「ゲル化剤」を入れて、再度15秒以上しっかりミキサーを回します。
- 食器に盛り付けて完成です。5分待つと安定します。
写真つきで工程を確認したい方は、こちらの記事をどうぞ▼
私が使っている「初心者向け」ゲル化剤

介護食用のゲル化剤は、ドラッグストアやスーパーでは置いていないことがほとんどです。
私はネットで購入しています。
初心者にも使いやすいのは宮源の「ミキサーゲル」のスティックタイプです。 加熱も冷却も不要で、ミキサーに入れて混ぜるだけで失敗なく固まります。
ミキサーゲルの詳細についてはこちらの記事をどうぞ▼
「他の商品とも比較して選びたい」という方は、こちらの比較記事をどうぞ▼
まとめ|「正しく固める」だけで、食事は変わります

ムース食は、特別なシェフの料理ではありません。 いつもの食事に、「介護食用のゲル化剤」を正しく使う。
それだけで、食べやすさも、安心感も、驚くほど変わります。
「これでいいのかな…」と迷いながら作るより、まず一度、正しい形を体験してみてください。 その一歩が、食べる人にとっても、支える家族にとっても、大きな安心につながります。
参考にした一次情報・公式資料
- 三重県立子ども心身発達医療センター
- ネスレ ヘルスサイエンス
- 株式会社宮源(ミキサーゲル公式)






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