
ムース食ってどんな食事?
家でも作れるの?

きざみ食やミキサー食とどう違うの?
このような疑問を解決します。
・ムース食の基本と特徴
・普通食・きざみ食・ミキサー食との違い
・家庭でムース食を取り入れるときのコツ
・病院や高齢者施設で管理栄養士として12年間勤務
(嚥下食・ムース食の調理経験あり)
・障害のある娘の食事を10年間作り続けている
(家庭でもムース食を実践中)

「ムース食は特別な機械がないと作れない」と思っていませんか?
実は、家庭でも工夫次第でなめらかに仕上げることができます。
この記事を読めば、ムース食の特徴や作り方のイメージがつかめて、食事づくりへの不安が“できるかも”に変わります。
ぜひ最後まで読んでみてください。
ムース食とは?
ムース食とは、噛む力や飲み込む力が弱くなった人でも、安心して食べられるように作られた食事のことです。
「なめらかで、飲み込みやすい」のが特徴です。
なぜムース食が必要なの?
年を取ると、食べものをうまく飲み込めなくなることがあります。
うまく飲み込めないと、食べものが気管に入ってしまい「むせる」「誤嚥(ごえん)する」こともあります。
ムース食は、食材をなめらかにしてゼリーのように固めることで、するっと飲み込めるように作られています。
たとえばこんな感じ(ハンバーグのムース食)

ハンバーグをいったんミキサーでなめらかにして、ゲル化剤で固めてから、またハンバーグの形に整えます。

見た目は普通のハンバーグとあまり変わりません。
でも、歯ぐきや舌でつぶせるやわらかさです。
普通食・きざみ食・ミキサー食との違い
食べやすくする方法には、いくつか種類があります。
代表的なのが「きざみ食」「ミキサー食(ペースト食)」、そして「ムース食」です。
名前は似ていても、食べやすさや見た目、味の感じ方が少しずつちがいます。
普通食(ふつうの食事)
私たちがいつも食べている食事です。
噛む力がしっかりある人向けで、見た目もおいしさもそのまま。
でも、噛む力や飲み込む力が弱い人にとっては、
「かたくて食べづらい」「むせやすい」ことがあります。
きざみ食
普通食を小さくきざんだものです。
見た目はふつうに近いですが、料理によって口の中でバラバラになりやすいのが難点。
飲み込むときに散らばって、誤って気管に入ることもあります。
そのため、きざみ食=安全とは言えません。
ミキサー食(ペースト食)
食材をミキサーにかけて、とろとろのペースト状にしたものです。
飲み込みやすいけれど、見た目が全部同じになってしまいがち。
味も混ざって単調に感じることがあります。
ムース食
ミキサーでなめらかにしたあと、ゼリーのように固めた食事です。
口に入れても形がくずれにくく、喉を通りやすいのが特徴。
表にまとめました
種類 | 食べやすさ | 見た目 | 味の感じ方 | 安全性 |
---|---|---|---|---|
普通食 | しっかり噛む必要がある | ○ | ◎ | △ |
きざみ食 | 少しやわらかい | △ | ○ | △(ばらけやすい) |
ミキサー食 | とろとろ | × | △ | ○ |
ムース食 | ぷるんとやわらかい | ◎ | ◎ | ◎ |

どの形が良いということはありません。
本人に合ったものを見つけることが大切です。
家庭でムース食を取り入れるコツ

ムース食は、特別な施設だけのものではありません。家庭でも作ることができます。

「家でやるのはむずかしそう…」と思う方も多いですが、
ポイントをおさえれば意外と簡単です。
ミキサーかハンドブレンダーを用意しましょう
食材をなめらかにするには、ブレンダー(ハンドミキサー)が便利です。
おかずをペースト状にしてから、ゼリーのように固めます。
はじめての方は手ごろで扱いやすいタイプでも十分ですよ。
・なめらかに仕上がる(パワー200w以上)
・洗いやすくて、軽めのタイプ

一度にたくさん作って、冷凍しておくのもおすすめです。
とろみ剤・ゲル化剤を使う
なめらかにした食材を、そのままではスープのように流れすぎます。
更に、おかゆなどはミキサーにかけるとドロッとして、のどにひっかかります。
そこで登場するのが、とろみ剤やゲル化剤(ゼリーのもと)。
これを加えることで、ほどよく固まり、口の中でバラけず、飲み込みやすくなります。

ドロッとしていたお粥も「プルンッ。ツルンッ。」となるので、驚くほど飲み込みやすくなります!
味は“香り”で楽しむ
味を感じにくくなると、食欲も落ちやすいもの。
そんなときは、だしの香りやごま油の風味をプラス。
塩分を控えめにしても、香りでおいしさを感じやすくなります
無理せず「市販のムース食」も活用
体調が悪い日や忙しい日は、冷凍のムース食を使うのも立派な選択です。
最近は、味や見た目がとてもよくできています。

手作りと組み合わせれば、ムリなく続けられますよ。
まとめ
今回は、ムース食の基本と特徴をお伝えしました。
・噛む力・飲み込む力が弱くなった方でも安全に食べられる
・誤嚥の心配が少ない
・家でも作れる
介護食というと難しく感じるかもしれませんが、
ムース食を知ることで、「食べる楽しみ」を取り戻すきっかけになります。
「自分で作ってみたい」「もっと詳しく知りたい」と思った方は、
次の記事も読んでみてください。↓↓↓
【初心者向け】ムース食の作り方を基本から解説(予定)
ムース食ときざみ食・ソフト食の違いをわかりやすく整理(予定)
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