飲み込みが難しいご家族の食事を、これから作る方へ。
「嚥下食(えんげしょく)を作ってください」と言われて、何から手をつけていいかわからない。そんな方に読んでいただきたいブログです。
これを喜んで始めた人は、たぶん一人もいません。
暗いトンネルに、ひとりで放り出されたような気持ち。私もそうでした。
このブログが、その道の小さな道しるべになれたらと思っています。
はじめまして。「みかん」と申します。
管理栄養士として12年働き、いまは11歳の娘の介護をしています。
このブログを読むと、「安全でおいしい」と「無理をしない」を両立できるようになります。
手作りも、市販も、宅配も。全部使っていいんです。
いちばん余裕のない日に、いちばん難しいことをする
うちの娘は、普段は刻み食を食べています。ムース食を毎日作っているわけではありません。
ムース食にするのは、風邪をひいたとき。花粉症で痰がからむとき。飲み込む力が落ちて、刻み食では危ないときです。
つまり、娘が体調を崩しているときにだけ、作ります。

私自信も娘の看病でヘトヘトなのに、そこからミキサーを出して作る。これが本当に大変でした。
そして作るたびに、やり方を見直しています。
大まかな流れはわかっていますが、ゲル化剤の量や温度を間違えると、失敗することがあるので、その度に作り方を見直していました。
このブログが「誰でも同じようにできる方法」にこだわっているのは、そのためです。
そして、たまにしか使わないからこそ、市販品や冷凍の宅配がありがたいのです。
このブログの情報は、どうやって集めているか
介護食の情報は、命に関わります。だから調べ方をはっきりお伝えします。
- メーカーに直接聞いています。電話とメールで確認し、記事に出典を書いています
- 自分で測っています。温度・重さ・時間を、温度計とはかりで記録しています
- 自分で買って、自分で食べています。市販品も宅配も、実際に注文して確かめます
- 失敗も書いています。うまくいかなかったことも、そのまま載せます
ゲル化剤(ムース食の素)のメーカーである宮源さんには、記事の内容を読んでいただいたこともあります。

調べてもわからないことは、メーカーさんに直接聞きます。それがいちばん確かだからです。
※このブログの情報は一般的な参考情報です。嚥下(えんげ)の力には個人差があります。必ず担当の医師・言語聴覚士・管理栄養士にご相談のうえでご活用ください。
みかんの「食と介護」のあゆみ
- 2004年〜|病院で働きはじめる 700床の病院で、調理・献立づくり・栄養の相談まで経験しました。
- 2011年〜|娘に障害があるとわかる 次女に重い障害(染色体の異常)が判明。てんかんの発作もあります。ここで介護食の壁にぶつかりました。
- 2020年〜|職場に戻る 産婦人科や老人ホームで、飲み込みの支援に関わりました。
- 退職 娘の体調で休むことが増え、仕事を辞めました。(このあとに書いています)
- 2025年〜|このブログを始める 「手作り×市販×宅配」を組み合わせた、心の折れない介護食を発信しています。
鼻からチューブが怖くて、倒れてしまった日
娘が体調を崩して食べられなくなった時、医師から告げられたのは、鼻からチューブで栄養を入れる方法(経管栄養)でした。
「管理栄養士なのに、娘の食事も満足に用意できないなんて……」
そう激しく落ち込みながらも、避けては通れない道だと、チューブを通す練習を始めました。
しかし、嫌がる娘を力いっぱい押さえつけることへの葛藤。
そして看護師さんから告げられた「もし肺に入ったら、すぐに抜いてください」という言葉の重み。
その恐怖に血の気が引き、私はその場で貧血を起こして倒れてしまいました。
「私には、これはできない。でも、落ち込んでいる場合じゃない。何としてでも、口から食べさせなければ」
それが一人の母親としての、切実な願いでした。
私を救った「魔法の粉」との出会い
そんな絶望の中にいた私を救ってくれたのは、入院先の管理栄養士さんから教わったゲル化剤(ムース食の素)でした。
教わった通りに作った食事を、娘が「つるん」と飲み込み、次のひと口を欲しがった時の感動は、今でも忘れられません。

こんなに素晴らしいもの(ゲル化剤)を作ってくれた企業さんには、本当に感謝しています!
それから長い間、私は必死にムース食を手作りし続けました。しかし、看病をしながらミキサーを回す生活は、想像以上に過酷でした。
手作りだけでは守りきれなかった「あの日」
一度だけ、今でも忘れられない大きな後悔があります。
急な帰省先で娘がダウンした際、手元にゲル化剤がなく、近所のスーパーにも売っていませんでした。
「とろみ剤で代用したミキサー食」を作りましたが、娘は案の定食べられず、そのまま再入院することになってしまったのです。

あの時の自分に、宅配弁当やレトルトがあることを今すぐ教えてあげたい……!
入院して辛い思いをするのは娘です。私に「備え」の知識があれば、入院させずに済んだかもしれない。その悔しさが、このブログを立ち上げる原動力になりました。
仕事を辞めた日のこと
娘には、てんかんの発作もあります。ほんの少し体調が違うだけで、発作が出ることがあります。
「今日はいつもと様子が違うかもしれない」
そう思っても、仕事があるから支援学校に送り出す。それが、本当につらかった。
支援学校でかむ練習をしていたとき、「喉に詰まらせました」という連絡が入ったこともあります。慌てて学校へ向かいました。
娘の体調で、休んだり早退したりすることが増えていきました。
あるとき、職場でこう言われました。
「子どもに障害があるからって、あなただけ自由でいいわね」
献立づくりは私が一人で担当していたので、仕事は回っていました。上司からは「この働き方でいいので続けてほしい」と言われていました。
それでも、あの言葉が抜けませんでした。
今から思えば、私が勝手に気を使って、勝手に苦しくなっただけかもしれません。急に人が抜ければ現場は困ります。言った方にも、言い分はあったと思います。
でも、そのときの私には限界でした。私は仕事を辞めました。

同じような思いをされている方、きっといると思います。あなただけではありません。
それでも、12年の経験を、このまま捨てたくありませんでした。
そして、私と同じ思いをしている人がいるなら、少しでも力になりたい。それで、このブログを始めました。
管理栄養士でも、知らないことだらけでした
正直に書きます。私はブログを始めるまで、知らないことがたくさんありました。
- 冷凍で届くムース食があることを知りませんでした
- ゲル化剤はスベラカーゼしか使ったことがありませんでした(とても良い商品です)
- ゲル化剤によって性質も作り方も違うことを、初めて知りました
- 温度の管理がこんなにややこしいことも、初めて知りました
つまり私は、管理栄養士ではありましたが、ムース食に関しては初心者のみなさんと変わりません。
だから失敗します。つまずきます。
でも、だからこそ、みなさんがどこでややこしく感じるのかがよくわかります。

わからないのは、あなたのせいではありません。もともとややこしいんです。
だから私は、実際に買って、食べて、作って、わからないことはメーカーさんに聞いて、それを記事にしています。
このブログで解決できること
「自分が頑張らなきゃ」と一人で背負う介護は、いつか限界がきます。
便利なものを賢く使って、介護する人が笑顔でいられる時間を作る。それが家族にとって一番の栄養だと、私は信じています。
- ムース食を家で安全に作る方法(初心者向け)
- 市販・宅配ムース食の選び方(失敗しないコツ)
- 食べない・むせる時の工夫(姿勢や食形態の知恵)
「手作り50:プロのサービス50」でいい。
みんなが自分の人生を大切にできることが、一番の栄養です。
「みかん」という名前について
和歌山県の出身で、みかんが大好きです。
そして「みかんのように、誰にとっても身近で親しみやすい存在になりたい」という願いを込めて、この名前にしました。
この世界のどこかで困っている、たった一人の方の助けになりたい。
その方は、過去の私だからです。